「歯周病」という言葉はテレビなどでもよく聞くようになり、ご存知の方も多いかと思います。
なんとなく歯を失うイメージはあると思いますが、実際にはどのように進行するのでしょうか。
また進行したらどのようになるのでしょうか。
今回は、歯周病の進行について、お伝えします。
そもそもどうして歯周病になると思いますか?
若いうちはならないと思い込んでいませんか?
むし歯も歯周病も、おくちの中の細菌によって発症します。
おくちの中に細菌がいるかぎり、老若男女問わず、むし歯にも歯周病にもなる可能性があるのです。
初期の歯周病は、少し歯ぐきを腫れさせたり、出血させたりと、軽い炎症を起こします。
このとき、ブラッシングで痛みを感じたりして歯科を受診される方もいらっしゃいますが、基本的には気づかない方のほうが多いです。
歯周病は、じわじわと歯のまわりの組織を破壊していきます。
はじめは歯ぐきが腫れたりする程度ですが、徐々に進行し、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)を深くしていったり、歯を支える組織を溶かしたりするのです。
自覚症状が現れるのは、歯周病が中等度まで進行したときが多いといわれています。
中等度というと、歯を支える骨が半分くらいまで溶かされ、固いものを噛むのが難しく感じたり、歯が浮いたような感じがする状態です。
ここまで進行すると、自宅でのセルフケアのみでは維持することが難しくなってくるので、歯科で専門的なケアをして、進行を防ぐ必要があります。
さらに歯周病が進行すると、重度歯周病と呼ばれる状態になります。
重度歯周病は、歯はグラグラで噛むことができず、膿が出たり、なにもしていないのに出血したりするような状態です。
ここまでくると、歯を抜くことになる場合もありますし、自然に抜けてしまうこともあります。
歯がグラグラしてきて固いものが噛めなくなってきた…と、歯科を受診したとします。
そこから歯周病の治療を開始して、専門的なケアとご自身の努力により、状態を改善させることは可能です。
しかし、歯周病になる前の状態に戻すことはなかなか困難とされています。
なぜかというと、歯周病で溶かされた骨は、歯周病が改善しても再生されることはないからです。
歯周病の治療とは、可能な限り細菌の量を減らすことです。
そのために、専門的なケアで歯石などの落としきれない汚れを取り除いたり、おうちでご自身によるセルフケアを正しく行う必要があります。
また、喫煙や糖尿病など、歯周病を悪化させる原因はさまざまです。
歯科医院で生活習慣に関しても指導を受け、改善させることでよりスムーズに治療が進むでしょう。
歯周病は全身にも悪影響を及ぼす危険な細菌です。
血液を介して全身にまわり、糖尿病などを悪化させるだけでなく、心筋梗塞や誤嚥性肺炎など、命を奪うこともあります。
歯周病の進行は、なかなかご自身で気づくことは難しいです。
歯科医院で検診を受け、必要があれば治療をしましょう。